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或る夜の出来事It Happened One Night(1934年/アメリカ/107分)
cinema review ![]() STORY
マイアミ。大富豪の銀行家、アレクサンダー・アンドリュースは、自分の知らぬ間に娘エリーが結婚したと知って激怒。エリーを船に閉じ込めてしまう。相手はパイロットのキング・ウェストリーだ。結婚を解消させると鼻息の荒い父。しかしエリーは隙を見て海に飛び込んで逃亡。ウェストリーがいるニューヨークへ向かう決意をする。
早速探偵を雇いエリーを追わせる父。その追っ手をどうにかまき、エリーはニューヨーク行きの深夜バスに乗り込むことに成功する。一方、バスには新聞社をクビになったばかりの記者ピーター・ウォーンが乗り合わせていた。空いた席がなく、強引に輸送中の新聞の束を捨てて席につこうとするピーター。運転手とひと悶着となるが、その間エリーがちゃっかりと座ってしまう。今度はピーターとエリーで悶着がはじまる。何とか荷物を棚にしまい、険悪な雰囲気のまま隣り合わせに。 やがて休憩のため停車。その間エリーはバッグを盗まれ、ピーターが追うが逃げられてしまう。しかしエリーは頑なに警察やバス会社への通報を拒み、ピーターは不審を抱く。さらに翌朝。休憩時、エリーは外出するも乗り遅れてしまう。一方、新聞を見てエリーが失踪中の富豪の娘だと思い当たったピーターは、バスに乗らずエリーを待つことに。そしてエリーにそのことを告げると、ピーターを買収しようとする。これにピーターは憤慨。再び険悪なムードになってしまう。 その夜再び同じ深夜バスに乗った二人。ところがエリーは変な男に絡まれてしまい、ピーターが助けることに。おかげで夫婦として旅をすることになってしまう。おまけに、バスが水溜りに突っ込んで立ち往生。仕方なく近くのモーテルへと向かう乗客たち。そこで二人は同じ部屋に泊まることになったのだが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
フランク・キャプラ監督の軽妙なラブ・コメディ。この時の第7回のアカデミー賞で、作品賞、監督賞、脚色賞、男優賞、女優賞の主要5部門を総なめにしています。特に前者4部門の同時受賞はめったになく、この後は1975年、「カッコーの巣の上で」まで待たねばなりません。いかに当時、本作の評判が高かったかがわかります。本作はまた、明るく都会的で華やかという典型的なハリウッド式ラブ・コメディでもあり、後世の同種作品に少なからず影響を与えたと言われています。この点、同時期にラブコメディで一世を風靡したエルンスト・ルビッチと趣を異にしていることはおもしろくもあります。
タイトルは "One Night"ですが、物語は男女の数日間の逃避行を描いたもの。主人公エリー(クローデット・コルベール)は富豪令嬢。結婚に反対する父から逃れるため、マイアミから彼のいるニューヨークへ。そこにはクビになったばかりの新聞記者ピーター(クラーク・ゲーブル)が。旅を続けるうちに二人は恋に落ちていく、というわけです。 会話の妙が本作の醍醐味。普段の何でもないことをさも大変なことのように話すピーターがおかしいやら滑稽やら。ピーターがエリーに、服の脱ぎ方は男によって皆違う、などと講義を始めるシーンまであります。一方、エリーの父・アンドリュース(ウォルター・コノリー)は何ともゴージャス。自家用ボートに自家用飛行機。当時としては夢のような世界。さらに、探偵を雇い、マスコミや警察を思うままに動かし、と、金と権力の権化のような人物を匂わせます。前半では娘を押さえつける独裁的な父、かと思いきや、後半では軟化。結婚を認めるものの様子がおかしいエリーを見て、別に好きな人間ができたと悟り、繊細さを見せることになります。ラストでは二人のためにキューピッド役を果たす粋な人物であることがわかります。 前半、主人公二人をじっくりと描きつつ、後半ではエリーの父やエリーにつきまとうおしゃべり魔シェイプリー、さらにピーターの上司、エリーの夫、と、次から次へと登場させ、展開に抑揚をつけているのがわかります。それぞれのキャラクターが大変良く活かされているのもさすが。この飽きることのないストーリー運びは実に見事ではないでしょうか。キャプラ監督の作品は一様に圧倒的なおもしろいプロットを兼備しています。 ちなみに、作中出てくる「ジェリコの壁」とは古い聖書の記述。絶対崩れない壁で、しかし角笛を吹くとたちまち崩れてしまうと記されているとか。一つ部屋の真ん中に毛布を吊るしジェリコの壁だと宣言するピーター。その両側で、ピーターとエリーは別々に睡眠をするわけです。が、最後、ピーターに角笛を買いに行かされたという宿屋のおやじ。何とも粋なオチで物語は幕を閉じます。八方丸く収まるエンディングは満足度十分ではないでしょうか。 ソフィスティケイテッド・コメディの性格上、またかなり古い作品でもあり、時代とともにテンポ感の悪化はどうしても出てきてしまいます。まあ、いたしかたのないことではあります。それにしても、と思うのは、最初犬猿だった二人が恋に落ち、と、ラブ・コメディは今なお変わらぬパターン。本作がそれを確立したと言っても過言ではないかもしれません。 |
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