Index |
Information |
|||||||||||||||||
エド・ウッドEd Wood(1994年/アメリカ/124分)
cinema review ![]() STORY
ハリウッド。映画監督を目指すエド・ウッド。ある時、性転換した男の映画化の記事を発見。その製作元、三流製作会社の社長兼プロデューサーのワイスの許を訪問。自分に女装趣味があることをタネに売り込みますが、必要なのは儲けを生む監督だといって断られます。が、その帰り、エドは怪奇映画で一世を風靡したベラ・ルゴシが棺選びをしているところを目撃。今は薬物中毒で落ちぶれていたベラ・ルゴシですが、彼を映画の目玉とすることを思いつきます。
ベラを抱き込んだエドは再びワイスに交渉して今度は成立。三日で脚本を完成。が、それを呼んだ売れない女優の恋人ドロレスはかんかん。それはエドの自伝で、エドの女装趣味をはじめて知った上に、自分のことまで書いてあったのです。それでも、何とかなだめて撮影開始。スタッフ数人、撮影期間四日。こうして「グレンとグレンダ」が完成します。 しかし、そのあまりの出来のひどさに怒ってワイスはエドをクビに。それでもめげないエドは、次回作「原子の花嫁」に着手。巨漢レスラーのトー・ジョンソンやインチキ予言師クリズウェルを新たにスカウト。素人女優ロレッタも加わります。一方で資金集めは難航。が、肉屋のおやじを言いくるめてようやく出資金を取り付けます。こうして「原子の花嫁」改め「怪物の花嫁」が完成。初日を迎えます。が、あまりのひどさで暴動にまで発展。これでもエドは気にする気配なし。自信作「外宇宙からの墓泥棒」の製作に意欲を見せるのでしたが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
エド・ウッドは実在の人物で、史上最低の映画監督と呼ばれました。しかし、ティム・バートンが映画にするまでは、ほとんどの人が聞いたことのない人物ではなかったでしょうか。筆者もエド・ウッドの映画は見たことはありません。が、その出来の悪さが度を越えていたことは確かなようで、批評にさえ上らないほどだったといいます。まあ、さすがに映画のように観客が怒って暴動を起こすことはなかったでしょうが、そのひどさがどのようなものであったかは、本作で垣間見ることができます。
物語にはもうひとりの重要人物、ベラ・ルゴシが登場します。ルゴシについてはオールド・ファンやホラー・マニアなら記憶にある名前だと思います。吸血鬼ドラキュラ役で有名になり、同時期(戦前)、フランケンシュタイン役で絶大な評価を得たボリス・カーロフがライバル。映画の中でも、カーロフの名を出すと反射的に怒り出す様子がコミカルに演じられています。ただし、ベラ・ルゴシはドラキュラだけの俳優ではなく、様々な名作にも出演。特に晩年、ロジャー・コーマンの怪奇映画では好演を見せています。このベラ・ルゴシの寂しい老年期の様子は本作で紹介されていますが、大変感慨深いものでもありました。 物語は、エド・ウッド(ジョノー・デップ)が、薬物中毒となり落ちぶれたそのベラ・ルゴシ(マーティン・ランドー)と出会うところから始まります。名のあるルゴシに出演を依頼し、それをセールス・ポイントにして映画監督として売り込む。この目論見は図に乗り、ついに映画「グレンとグレンダ」を完成させます。が、映画では、エドは心からルゴシを敬愛している様子も映し出されます。ルゴシが最期の一花を咲かせ、幸せそうな表情を作るあたりは、いかにもティム・バートンの愛情が染み出ていて、何ともいえない心地良さを創出しています。そしてルゴシ役マーティン・ランドーの名演、これもぜひ注目したいところです。 この映画はまったく評価を受けず、メジャー映画のプロデューサー・フェルドマン(実在のプロデューサー、チャールズ・フェルドマンのことか?)は、あまりにひどいので何かの冗談だろうと大笑いした、という挿話が描かれています。つづく「怪物の花嫁」は自分で資金を集めて製作。が、これもだめ。この間、恋人ドロレス(サラ・ジェシカ・パーカー)は愛想を尽かして去り、新たに、病院で知り合ったキャシー(パトリシア・アークェット)と付き合うようになります。一方ではベラ・ルゴシが死去。エドは辛い思いをしなければなりませんでした。 そして思わぬところ(アパートの家主)で次回作の出資者・バプテスト教会を発掘。ついに絶対の自信作「外宇宙からのプラン9」(元は「外宇宙からの墓場泥棒」)を完成させるのです。現実ではこの自信作もまた酷評を受けるのですが、映画はその後を描いていません。人生の頂点を極めたエドの姿で幕を閉じています。 映画が好きで好きで、とにかく映画に関するものなら何でも愛してしまう。それがエド・ウッドの人物像ではなかったでしょうか。世界の映画オタクがなぜエド・ウッドに魅せられてしまうのか。あまりにも純粋に映画を愛し、生涯映画製作に情熱を持ち続けた魅力が、きっとそこにはあるのでしょう。そうして観ると、意外とこの物語が感動的なものに思えてきます。もっとも、女装趣味だと思い出すと、また醒めてしまいそうですが ・・・。 ティム・バートンもエド・ウッドのファンだそうです。言われてみれば、ティム・バートン自身、エド・ウッド的映画オタクの匂いがぷんぷん。本作はその熱いまなざしが見えてきそうな物語。エド・ウッド絶頂期でエンディングを迎えているのもその表れかもしれません。いずれにせよエド・ウッドの実像に迫りつつ、ほどよい娯楽作品となった本作。意外にもちょっとした感動作のような気がします。そして皮肉と言えるかどうか。とにかくもこれで、忘れ去られていた史上最低の映画監督・エド・ウッドの名は、永遠に映画史に刻まれることになったわけです。 |
![]() (ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント) amazon DVD link
more review ...
本作はカンヌ国際映画祭パルム・ドールにノミメート。惜しくも受賞は逃しましたがティム・バートンの実力を知らしめた作品となりました。また、ティム・バートンといえばジョニー・デップ。本作を筆頭に、「チャーリーとチョコレート工場」(2005)、「スリーピー・ホロウ」(1999)、「シザーハンズ」(1990)など。よほどお気に入りのようです。
|
|||||||||||||||||
www.sasaraan.net |
・・・ |
(c) morijoh |