Index |
Information |
|||||||||||||||||
いまを生きるDead Poets Society(1989/アメリカ/128分)
cinema review ![]() STORY
1959年。その厳しさからヘルトンとも言われる全寮制の名門校ウェルトン。その新学期にキーティングが赴任してきます。一方、新年度を迎えた生徒たち。権威的な父親に頭が上がらないニール。同室には自分に自信がない転校生のトッド。ニールといつもつるんでいるのはチャーリーやノックスたち。
程なく始まった国語の授業。担当のキーティングは教科書を破らせたりサッカーをさせたり、と風変わり。しかし、それは保守的で権威的なほかの授業とはまったく違ったもの。その中で繰り返すのは、いまを生きろという言葉。ニールたちは、自由と自立、そして感性を尊ぶそんな授業にたちまち魅了されてしまいます。 やがてニールたちはキーティングに興味を持ち、昔のアルバムを発見。 "死せる詩人の会" の存在を知ります。聞けば、夜、洞窟の中で詩を読み合うというもの。ニールと仲間たちは会を復活。夜抜け出しては洞窟に集まり、思い思いの言葉で自分を表現していくようになります。やがて自分自身について真剣に考えるようになる彼ら。ニールは芝居に ノックスは恋に、そしてトッドも。それぞれ障害にもめげず自分の信じる道を歩み始めます。 しかし、伝統と規律を重んじる学校側は、生徒に自由と自立の精神を吹き込むキーティングを快く思っていませんでした。そんな中、ふとしたことから会の存在が明るみに。学校側はキーティングに責任を押し付けようとするのですが・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
映画らしい人物描写をする実力派。そんなイメージがピーター・ウィアー監督にはあります。 "いい" "映画" をつくる。その真剣さが実によく伝わってくる本作。見る者が確かに受け取るまでテーマをしつこいくらいに追求する。さらに感傷的になりすぎるのは映画の映画らしいところ。そう考えれば、映画という文化の真髄がピーター・ウィアーにはあるのではないでしょうか。
タイトルは原題を訳したもの(死せる詩人の会)ではなく、作中もうひとつのキーワードとして登場してくる "Seize The Day" から発したもの。 "いまを生きる" は、本作の本質を端的に表現していて、名タイトルと言えるのではないでしょうか。肝心の中身は、モチーフとしている青春映画以上に幅広い層に訴えかける内容。本作の支持層の厚さが納得できます。 舞台は1959年、厳格な全寮制高校・ウェルトン校。しかしその本音は、 "生徒を一流大学に送り込むだけでよいのだ" と校長が言うように、何よりも制度の維持が優先される非人間的な閉塞した小社会。物語は、そこに赴任してきたキーティング(ロビン・ウィリアムス)と、生徒たちが内面的に自立していく姿を描いたもの。前半、授業で、詩を数値化して評価する教科書のくだりを破らせるところはいかにも痛快です。また、 "Teacher" と呼ばれて振り返らず、"Oh Captain! My Captain!" と呼ばれて振り返るような茶目っ気もたっぷり。が、ふしぎなことにキーティングに軽さを感じることはありません。それを表すかのように、生徒たちはキーティングから大事なものを学んでいきます。 そんな生徒の中に主人公ニール(ロバート・ショーン・レナード)がいます。序盤、父親に課外活動をやめるよう命令され、従うしかすべがないニールの姿が映し出されます。やがて真の自分を見い出し酔いしれ、しかし現実とのギャップに苦悩する人間的弱さ。それは人間らしい感情の起伏を表しています。ところが終盤、彼が辿る悲劇には、本作のテーマの本質的な矛盾(生への執着と人間が越えざる壁)を見て取ることができます。はたしてこれを展開上の演出に過ぎないといって割り切ることができるものか。この点、"救い" に薄いモチーフであるとも言えます。インパクトを生んだ代償とも言えるでしょうか。 一方で、物語のキーマンとなっているのは転校生トッド(イーサン・ホーク)であるとも言えます。最初、自分の殻に閉じこもり誰とも馴染もうとしない姿。が、後半では、キーティングや仲間たちの友情で劇的に変化する姿が見事に映し出されます。自分に自信がなく、両親の無関心さに悩むその姿は、自分に自信を持つにも関わらず父親の干渉に悩むニールとは鮮やかな対比を成しています。両者とも実によく考え抜かれた人物像ではないでしょうか。 最後。その一つ一つのカットが頭に焼きつくシーン。人間性の象徴であるキーティングは去っていきます。が、このことは重要ではありません。人の精神が何者にも縛られないものであること、それを自分たちはしっかりと引き継いだのだ、とこのシーンは語っているのです。悲劇的なシチュエーションにもかかわらず、爽快さがよく表れているシーンではないでしょうか。実に奥の深さを感じさせてくれます。 多感な少年たちの人間群像を描いた青春映画として感動的な作品となった本作ですが、テーマ自体はオーソドックスで普遍的なもの。年齢に関わらず、この映画から教えを感じ取る人は多いのではないでしょうか。長年にわたって見続けられるであろう映画だと思います。 |
![]() (ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント) amazon DVD link
more review ...
ピーター・ウィアー監督はオーストラリア出身。と言ってもヨーロッパ、アメリカ、と、まさに世界を股にかける男。その出世作となったのが「刑事ジョン・ブック/目撃者」(1985)。刑事役のハリソン・フォードが、アーミッシュと呼ばれる原始生活を信奉する目撃者を守ろうとするサスペンス。人間ドラマとしても秀逸な作品でした。
|
|||||||||||||||||
www.sasaraan.net |
・・・ |
(c) morijoh |