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アンブレイカブル

Unbreakable(2000年/アメリカ/107分)

[監督]M・ナイト・シャマラン
[脚本]M・ナイト・シャマラン
[撮影]エドゥアルド・セラ
[音楽]ジェームズ・ニュートン・ハワード
[出演]ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン、ロビン・ライト・ペン、スペンサー・トリート・クラーク、イーモン・ウォーカー、シャーリーン・ウッダード

[内容]

 列車事故で131名が死亡。が、ただ一人の生還者デビッド・ダンには怪我すらない。やがてデビッドにメッセージが。そこには、人生で何日病気をしたか、と質問が。不審に思い、見知らぬ送り主イライジャを尋ねたのだったが ・・・。不死身のヒーローの存在をめぐるドラマを描いた異色サスペンス。淡白さと滑稽さには評価の分かれるところだが、対極の世界という着想は斬新で大いに惹かれる。
[評価]★★★☆☆

cinema review

STORY

 1961年、ある黒人女性が一人の子どもを生みます。が、生まれながらにして手足を骨折していることが判明。その子ども・イライジャは先天的に骨が弱いという障害を持っていたのです。それから数十年の現代。列車衝突事故が発生。乗員乗客百数十人が死亡。が、一人だけ傷すら負わない乗客が発見されます。それが、スタジアムの警備員・デビッド・ダンでした。
 ある日、デビッドにメッセージが書かれたメモが届けられます。そこには、人生で何日病気をしたか、と質問が。不審に思い息子・ジョセフとともに訪ねてみるとそこはコミック・アートのギャラリー。店主は成長してコミックの研究者となったイライジャ。彼は、自分のような脆い人間の対極に、弱い人間を助ける強靭な人間が存在する、彼は病気もしなければけがもしない、デビットがそれではないか、と言い出すのでした。が、デビッドが学生時代にけがをしたことがあると知ると落胆した様子。デビッドも何かのセールスだと思い、出て行ってしまいます。
 しかし、イライジャはその後もデビッドと家族につきまとい、ジョセフは徐々に父親が不死のヒーローだと信じはじめます。さらにイライジャは学生時代のデビッドのけががうそだと主張。一方、デビッドはふとしたことから自分を幼いときに診察したという医師に遭遇。確かに溺れた経験を持ったことを思い出します。そんなある時、ジョセフは父親の不死を証明しようと、銃を持ち出してデビッドに向けるのでしたが ・・・

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COMMENT

 「シックス・センス」のシャマラン監督とブルース・ウィリスのコンビが復活。独特の怪しい映像と展開で見る者を煙に巻いていくのは前作同様。その点は多分にイメージ誘導型の感が強いのではないでしょうか。今回はまさに "異色" と言っていいテーマ。アメリカン・コミックのヒーローを、対極の世界観とともに描いたダーク・サスペンス。若いシャマラン監督ならではの着想かもしれません。一方、本作でもドラマ性を演出。家族の絆や歪みも描かれていき、物語の情緒部分を支えます。
 物語の序盤、悲惨な列車の衝突事故が映し出されます。乗員乗客全員死亡。ただ一人を除いて。デビッド・ダン(ブルース・ウィリス)は怪我ひとつ負わず事故から生還。やがてイライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)という男からメッセージを受け取り訪問。ミスター・ガラスと呼ばれるほど骨折しやすい体質のイライジャは、脆い自分の対極に、強靭な肉体を持ったヒーローが存在する、と言い出すのです。
 冒頭は生まれながらにして骨折した赤ん坊のシーン。そして列車事故。デビッドの子・ジョセフの短いカット、など。このアンバランスともいえる一連のシーンに、その後の出来事への伏線が見事に隠されていることが分かります。このあたりのつくりのうまさはシャマラン監督の鬼才と呼びたいところ。
 はたしてデビッドは不死身のヒーローなのか。が、現実的には滑稽なモチーフでもあります。見る者に対しては、イメージで巧みに非現実の世界に誘導しているのですが、やはり一度そう感じてしまうとおもしろみは半減してしまいます。コミックを現実の世界とダブらせる信憑性。このあたりが見る側の評価を分けるポイントになったのではないでしょうか。
 対照的に、終盤の一連のシーンは実に象徴的です。イライジャのギャラリー。デビッドはそこでイライジャの母から、障害を抱えながらどんな試練にも耐えてきたイライジャを誇りに思う、という言葉を聞きます。ヒーローとは特別な存在ではなく、人間の心の中にこそある、としめくくったかのよう。それは、ジョセフがいじめに遭っていた子どもを助けようとしたことからも、本作の思想上の本質であるとわかります。が、その直後、デビッドはイライジャの驚くべき秘密を知ることになるわけです。これより以前、現実はコミックのコマの中ではない、とイライジャは話しているので、コミック・ヒーローに妄執する人物像にはやや違和感を覚えるのですが、インパクトのあるラストであることは確かです。
 作中では、デビッドと妻、あるいは子供との愛や絆、さらにはイライジャと母との関係など、人間ドラマの描写にも力が入っているのがうれしいところ。マニアックになりがちなモチーフをポピュラーなつくりに格上げしている要因になっているように思います。こんな点も含めて、見る人によって様々な視点が生まれそうな本作。良くも悪くも、逆に言えばそれだけ感想が分かれやすい映画かもしれません。

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www.sasaraan.net

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