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裏窓Rear Window(1954年/アメリカ/112分)
cinema review ![]() STORY
ニューヨーク、夏。雑誌カメラマンL・B・ジェフリーズは仕事中に足を骨折し、ギプスをつけたまま6週間もアパートにカンヅメ状態だった。やることと言えば裏庭とそこに面するアパートの住人たちをながめるくらい。看護士のステラはのぞきをいさめるが、今では夜更かしするほどの楽しみとなっていた。
そこから見えるのは、毎日二人分の食卓をつくるも結局はひとりで食事をする中年女性ミス・ロンリーハート。男出入りが激しい美しくグラマーなバレエ・ダンサー。ピアノで美しい曲を奏でるも売れないソングライター。仲が悪いセールスマンの夫と病気でこもりきりの妻。その上に住み、いつもベランダで寝ている夫婦。そして当のジェフはというと、モデルの恋人・リサと最近ギクシャクした関係だった。結婚をほのめかすリサに対し、ジェフは互いの世界が違いすぎることに不安を感じていたのだ。 そんなある深夜、ジェフは、向かのアパートに住むセールスマンが、アタッシュケースを持って何度も部屋を出入りするのを目撃。そして翌日、いつも窓が開いている男の妻の部屋のブラインドがおり、しかも夫が部屋に寄り付かないことに気付く。不審に思い望遠カメラを取り出してのぞくと、肉切り包丁を包む男の姿が。夫が妻を殺してバラバラにして運んだのでは? ジェフは大胆に推理するのだった。 それを聞いたリサだったが信じようとはしない。が、夫が大きいトランクをロープでぐるぐる巻きにする姿を見て疑い始める。翌日には、ジェフは、親友で戦友の刑事・ドイルを呼び出す。しかし、ドイルもまた信じない。それでもしぶしぶ調査を引き受けたが、やがて、妻は田舎に引き込むために早朝家を出たことが判明する。目撃者もいるとのことだった。しかしジェフとリサの疑いは消えない。そこでその夜、リサは男の部屋に忍び込み、証拠を探そうとするのだったが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
ヒッチコックの箱庭型サスペンス。原作はコーネル・ウーリッチ。もう一つの名義、ウィリアム・アイリッシュの方が有名ではないでしょうか。舞台は主人公ジェフ(ジェームズ・スチュワート)の部屋と、彼がのぞく裏庭のみ。カメラがジェフの部屋から外に出ることはありません。観る者は、まさにジェフと同じ視線で、裏窓から見える様々なエピソードを目撃することとなります。一方、ジェフから一歩引いている自分にも気付くのではないでしょうか。ジェフが主張するように、殺人は本当に行われたのか? この謎は最後の最後まで明かされることはありません。主人公と同じ体験をしながらサスペンス劇を客観的に堪能できるという、驚くべきつくりを、本作は実現しています。
物語の主人公は、足を骨折して部屋から動けないジェフ。ある時、向かいの部屋のソーウォルド夫妻のうち、妻(アイリーン・ウィンストン)がいなくなっているのに気付きます。しかもその日の深夜、夫(レイモンド・バー)は何度も荷物を持って部屋を出入り。普段から仲の悪かった二人。ジェフは夫ラースが妻を殺してバラバラにした上で捨てたのだと推理するのです。が、恋人のリサ(グレース・ケリー)や看護士のステラ(セルマ・リッター)は信用しません。親友の刑事ドイル(ウェンデル・コーリー)を呼びますが、出るのは妻が生きているという証拠ばかり。が、女性真理に反するある出来事をきっかけに、リサは、これが殺人事件だと確信するに至ります。 物語はサスペンス劇ばかりではありません。ジェフとリサのラブ・ストーリー。そして裏窓から見える人々の群像劇。それぞれにストーリーがあって、まるで複数の舞台を同時に見ている感覚。それでも決して統一感がくずれないのが、ヒッチコックの天才たる所以のひとつと言えます。別のストーリーにもかかわらず、単独で語られることはなく、ベース・ストーリーの上にしっかりと内包されているのがわかります。 一方、グレース・ケリーの美しさをちゃっかり利用しているのもヒッチコックらしいところ。時折わざとらしく挿入されるグレース・ケリーのアップに、思わずうっとりしてしまいます。面白いことに、この傾向は次の出演作「泥棒成金」ではさらにエスカレートしているのがわかります。そして決して美しいだけではない、グレース・ケリーの微妙な表情にも注目したいところです。 展開は終盤になって、ようやくスリラーらしい装いとなります。リサが単身ソーウォルドの部屋に侵入。妻の結婚指輪を発見します。生きているなら決して手元から話さないはず。それを指輪を自分の指にはめ、ジェフにのぞかせる。ついに真実が明らかとなった一瞬でした。が、リサはソーウォルドに見つかり捕まってしまうのです。 サスペンスという軸を維持しながら、一方で娯楽性の強い人間ドラマを実現した本作。ヒッチコック全盛期は、やはりここから始まったと言えるでしょう。それまでには閉塞性をはらんでいたり、つくりの上での古さがありましたが、本作ではそのすべてを払拭。一気に垢抜けた作品となったような気がします。 |
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本作主演のジェームズ・スチュワート、グレース・ケリーは共にヒッチコック作品の常連。特にジェームズ・スチュワートは「知りすぎていた男」、「めまい」など四本に主演しています。また、のちにペリー・メイスン・シリーズで世界的に有名になるレイモンド・バーは、当時は本作のような悪役が多かったようです。ちなみに、ゴジラのアメリカ版、「怪獣王ゴジラ」(1956)にも出演しています。
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