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アッシャー家の惨劇The Fall Of The House Of Usher(1960/アメリカ/80分)
cinema review ![]() STORY
ニューイングランド。フィリップが訪れたのは、まわりにまったく緑がなく、代わりに不気味な沼が広がる陰気で広大な屋敷。フィリップは、ボストンで知り合った恋人・マデリンとの結婚を決意。連れて帰ろうと、このアッシャー家を訪ねて来たのでした。
が、出て来た執事・ブリストルはマデリンが病気だと告げ、兄・ロデリックは結婚に反対し、フィリップを追い返そうとします。押し問答をしている間にマデリンが現れますが、意外にも屋敷を出ることはできないと答えます。説得のため屋敷に留まることにしたフィリップ。屋敷の壁にひびが入り、崩壊寸前であることに気付きます。そして次々と起こる奇怪な出来事。 ある夜、物音がして部屋を出ると、夢遊病でさまようマデリンの姿が。追っていくと地下の納骨室に行き着きます。そこには先祖代々の棺があり、マデリンとロデリックの棺まで用意されていることに驚きます。代々悪行の限りを尽くしてきたアッシャー家は呪われているのだと言うロデリック。屋敷にすら悪意が染み付いていて、この血を子孫に残してはいけないと言うのです。 やがてマデリンを連れ出すことを決意したフィリップ。しかしマデリンはロデリックとの口論の最中に死んでしまいます。すぐさま三人だけの葬儀が行われ、フィリップは失意のうちに屋敷を去ろうとしたのですが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
原作は古典「アッシャー家の崩壊」。エドガー・アラン・ポーの怪奇小説ですが、その怪奇嗜好の映像化には注目したいところ。監督は当時大量に怪奇映画をつくりだしていたロジャー・コーマンですが、どれも低予算にもかかわらず何とかかんとか形にしてしまうのはすごいと言っていいのかどうか。また、当時はミステリーゾーンで活躍中の名人リチャード・マシスンが脚本を担当していたのもマニアには興味深いところ。主演はこれもビンセント・プライス、と、クレジットからして怪奇趣味がにじみ出ています。
物語は、恋人に会うためにアッシャー家を訪れた青年の奇怪な体験を描いたもの。屋敷に住んでいたのはいかにも怪しげな兄ロデリック(ビンセント・プライス)と執事のブリストル(ハリー・エラーブ)。恋人マデリン(マーナ・ファーイ)は病気で寝込んでおり、なぜか妹を執拗に家に繋ぎ止めようとするロデリック。フィリップ(マーク・デーモン)を襲う奇怪な現象の数々。先祖代々の不気味な肖像画。木々が根付かない代わりに広がる底なし沼の謎。家に宿っているという悪意。棺に骸骨、と、小道具も十分。物語はいかにもハリウッド風のイメージ重視のつくりで押し切っています。 登場人物は四人のみ。80分という短い時間なのですが、中盤は、ロデリックとフィリップの押し問答のパターン化が見られやや中だるみとなります。しかし終盤に入ってマデリンが狂人と化すと、一気に物語はホラー色を強めます。病人だったとは思えない恐ろしい力で人間を襲うその姿には戦慄を禁じ得ませんが、同時に運命に翻弄された挙句の変身であり哀れでもあります。 傑作としての決め手には欠けるのですが、さすがにその道の素材・スタッフ・キャストを結集させただけあって、ツボをはずしてないところはいかにもプロの仕事を感じさせます。程度の差こそあれ、スクリーンの中の怪奇体験を味わう人が多かったのではないでしょうか。怪奇映画にしてはふしぎと感情移入してしまえるのも妙な感覚と言えます。ともあれ、原作が怪奇小説の古典的名作であるだけに、昔から有名な映画ではありました。一見の価値はあると思います。 |
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