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ファミリー・プロット

Family Plot(1976年/アメリカ/121分)

[監督]アルフレッド・ヒッチコック
[原作]ビクター・キャニング
[脚本]アーネスト・リーマン
[撮影]レナード・J・サウス
[音楽]ジョン・ウィリアムズ
[出演]カレン・ブラック、ブルース・ダーン、バーバラ・ハリス ウィリアム・ディヴェイン、エド・ローター、キャスリーン・ネスビット、キャサリン・ヘルモンド、ウォーレン・J・ケマーリング

[内容]

 インチキ霊媒師ブランチが、ある資産家から、40年前に生き別れた妹の子供を探していほしいと依頼される。調査を始めた恋人ジョージは、やがて行方の鍵を握るマローニーなる男に行き着く。が、なぜか命を狙われる。子供は今では冷徹な犯罪者となっていたのだ ・・・。ヒッチコック監督最後の作品。晩年乏しかったユーモラスさが復活。さすがに勢いは衰えて小ぢんまりしてしまったが、プロットはテンポ良く抜群に面白い。ポピュラリティの高いミステリーの快作。
[評価]★★★★☆

cinema review

STORY

 しがない霊媒師ブランチが資産家のレインバード夫人の家を訪れると、妹の子供を捜してほしいと頼まれる。40年前、子供は私生児という理由で里子に出されていた。夫人は妹の死後、莫大な遺産をその子に遺そうと思ったのだ。ブランチは1万ドルの報酬と聞いて承諾するが、実はインチキ霊媒師だ。裏で、恋人のタクシー運転手ジョージが依頼者の身辺を探りブランチに教えるというからくりだった。
 同じ頃、ある建物に一人の女が入っていく。その女・フランは無言のままダイヤモンドを受け取り、用意させたヘリコプターに乗り込むとゴルフ場に向かうよう要求。そこで待っていた主犯・アーサー・アダムソンと共に逃走。後には人質として監禁されていた実業家が残されていた。
 40年前の事情を知るのはレインバード家の元運転手だけだった。しかしすでに亡くなっていたため、ジョージはその娘を尋ねる。すると娘は、父と親しかったシューブリッジなる人物の名前を挙げる。しかもシューブリッジには養子エドワードがいたという。ところが25年前、シューブリッジ家は火事に遭い、親子とも死亡していた。
 ジョージはシューブリッジ家の墓地へ向かう。しかし奇妙なことに気付く。子供の墓は両親とは別に建てられ、しかも墓石が真新しいのだ。調べてみると子供の死体は発見されていなかった。そして最近になって墓を建てたマローニーなる人物を突き止める。ジョージは早速マローニーに会いに行くがなぜか口は堅い。
 そのマローニーはその後ある宝石店へ向かう。そこにいたのは普段は宝石商の誘拐犯アダムソンだった。アダムソンはエドワード・シューブリッジだったのだ。一方、レインバード夫人は、子供の行方を知る唯一の人物を思い出し、ブランチに告げていた。それはエドワードを洗礼した牧師だった。ジョージはそれを受けて教会へ。が、その頃、アダムソンとフランは牧師の誘拐を企んでいた ・・・。

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COMMENT

 ヒッチコック監督最後の映画。前々作「トパーズ」、前作「フレンジー」、と、ややマニアック、しかもシリアスで硬質な作品が続きましたが、本作では晩年に乏しかったユーモラスさを表に出してきました。ヒッチコック本来のポピュラリティの高さが復活。面目躍如と呼べる作品かもしれません。
 物語は、降霊という、オカルティシズムを漂わせた幻想的なシーンで始まります。主人公は霊媒師ブランチ(バーバラ・ハリス)。ヘンリーなる幽霊を呼び出しては依頼人の悩みを解決します。が、実はインチキ。裏でひそかに恋人のタクシー運転手ジョージ(ブルース・ダーン)が情報を集め、ブランチに教えるという段取りでした。そんなブランチにある富豪(キャスリーン・ネスビット)から人探しの依頼。40年前に生き別れた妹の子供の探索。ジョージが探偵となって尋ね人の居所を知るマローニー(エド・ローター)なる人物に行き着きますが、なぜか命を狙われる羽目に。実はマローニーのボス、アダムソン(ウィリアム・ディヴェイン)は狡猾な誘拐の常習犯だったというわけです。
 本作の特性がよく出ているのは、中ほどの車の暴走シーン。ジョージがブレーキに細工された車を運転。対向車にぶつかるか崖に転落するかスリル満点。のはずなのですが、ここで助手席にいたブランチがパニックに。車の中で上を下への大騒ぎ。運転中のジョージの首に抱きついたりネクタイを引っ張ったり挙句の果てに顔を踏んづける暴挙。ブルース・ダーンの不細工な、じゃなかった個性的な顔もちゃっかりと利用。モチーフを一層コミカルなものにしています。
 それにしても本作の配役は偏っています。ブルース・ダーン、エド・ローター、カレンブラックといずれも悪役顔。ウィリアム・ディヴェインも何とも悪そうな顔つき。唯一善人に見えるバーバラ・ハリスですが、これが詐欺師なのですから実に諧謔的なシチュエーションと見れます。こんな点も、本編のコミカルさの一翼かもしれません。
 全体的にお得意のスパイ・スリラーのような、世界の大舞台を背景にするスケール感はなく、小ぢんまりとした雰囲気はあります。しかしややマニアックに傾いていた晩年のつくりが、ポピュラリティの高いものに戻ったことも確かです。展開もスピーディで、緊張感を生む長い間もここでは控え目となっています。何より抜群に面白いプロットが本作の高い人気を支えていることは間違いありません。
 不思議なことに、ヒッチコックほどポピュラリティの高いサスペンス映画をつくった人はいまだ他に存在せず、その最後に本作がつくられたことは実に意義深い気がします。おそらく、本作が映画史の一区切りであると言っても過言ではないのでしょう。

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アルフレッド・ヒッチコック
「サイコ」
「裏窓」
「ダイヤルMを廻せ!」
ブルース・ダーン
「11人のカウボーイ」
「帰郷」
「メイフィールドの怪人たち」
カレン・ブラック
「エアポート’75」
「家」
「イナゴの日」

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