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下宿人The Lodger(1926年/イギリス/80分)
cinema review ![]() STORY
ロンドン。ある火曜日の夜、堤防近くで悲鳴が上がる。そこには金髪女性の死体が横たわっていた。そばには「復讐者」と記されたカード。毎週火曜日に出没する復讐者による連続殺人の犠牲者はこれで7人目だった。そしてこの夜の目撃者により、犯人はスカーフで顔を覆っていたことが判明する。
その近くの劇場では、毎週火曜日「ゴールデン・ガール・ショー」というファッション・ショーが催されていた。そのモデルたちも殺人鬼に怯えていた。が、モデルの一人で下宿屋の娘、デイジーも金髪だったが、楽天的な性格で、あまり心配していなかった。そのデイジーの下宿に、一人の若い男が部屋を借りに訪れる。スカーフを顔に巻いた陰気な男で不気味だったが、デイジーの母は二階の部屋を貸すことにする。 一週間後、人好きのするデイジーは下宿人と親しくなっていた。一方デイジーの恋人で刑事のジョーは、復讐者事件の捜査官に任命され張り切っていた。しかしその夜、またもや復讐者による殺人事件が発生してしまう。この時、デイジーの家では、母親が、夜ひっそりと下宿を出て行く下宿人の足音を聞いていた。翌朝、事件を知ったデイジーの両親は愕然とする。そして下宿人が殺人鬼ではと疑い始めるのだったが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
アルフレッド・ヒッチコック監督の三作目。1926年製作ということでもちろんサイレント映画。連続殺人鬼がロンドン中を震撼させるというモチーフですが、副題に A Story Of The London Fog とつけているあたり、切り裂きジャックの実話から着想したものかもしれません。一方、ロンドンの連続殺人といえば晩年の「フレンジー」にも通じるところがあります。また、後に得意とする冤罪モノの片鱗やヒッチコックの不倫好きも垣間見える作品で、意外にも20年後のヒッチコック・スタイルをこの段階から見ることができます。
物語の舞台はある夜のロンドン。殺人鬼「復讐者」によって7人目の犠牲者が出てしまいます。毎週火曜日に出没するこの殺人鬼が狙うのは金髪の若い女性ばかり。その夜、ある下宿屋に若い男(アイヴァー・ノヴェロ)が部屋を借りに訪れます。これが殺人鬼と同じようにスカーフで顔を隠した男。下宿屋の娘デイジー(ジューン)は楽天的な性格で、陰気なこの男とも親しくなっていきます。それから一週間後の火曜の夜。また殺人が起こってしまいます。一方、デイジーの母(マリー・オールト)が、その夜家を出ていく下宿人の足音を聞いていました。下宿人を疑う両親。が、そんなこととは知らないデージーは、ある夜、下宿人と二人きりで出かけてしまうのです。 殺人現場からファッションショー、そして下宿屋、とやや雑ぱくな序盤ながら、下宿人が登場するくだりから一気に緊張感を高めていきます。物語にはもうひとり、デイジーの恋人で刑事のジョー(マルコム・キーン)が登場。下宿人とデイジーの争奪戦を演じます。この三角関係によるロマンティシズムの醸成もヒッチコックのオハコ。が、やがてジョーも殺人鬼を追ううち、下宿人へと行き着くのです。 はたして下宿人は犯人なのか? デイジーは下宿人に殺されてしまうのか? それともジョーの助けが間に合うのか? 後半のスリリングな展開はかなりのおもしろさ。そして終盤、下宿人を盲目的にかばうデイジー の姿は、まさに後の冤罪モノを見るようです。情感面での描写もきっちりとしているのはさすがと言えるでしょうか。後日談を描いたラストがそれを象徴しています。 一方、連続殺人事件の詳細についてはかなり端折った感もあります。デイジーと下宿人の物語に集中させる試みなのでしょうが、やはり興味をそそられた部分には違いありません。そして、いたしかたのないこととはいえ、さすがに口パクシーンではもどかしさを感じてしまいます。緊迫感あふれるストーリーですからなおさらかもしれません。 |
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ヒッチコックの不倫好きはこんな時代からすでに垣間見せているのがおもしろいところ。刑事の恋人をあっさり振って下宿人に傾倒していくデイジー。しかもそれを「正」とするようなところがヒッチコック流。その極め付きの不倫映画(?)は「ダイヤルMを廻せ!」でしょうか。「トパーズ」ではダブル不倫をモチーフにしています。
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