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グランド・ホテル

Grand Hotel(1932年/アメリカ/113分)

[監督]エドモンド・グールディング
[原作]ヴィッキ・バウム
[脚本]ウィリアム・A・ドレイク
[撮影]ウィリアム・ダニエルズ
[出演]グレタ・ガルボ、ジョン・バリモア、ジョーン・クロフォード、ウォーレス・ビーリー、ライオネル・バリモア、ルイス・ストーン、ジーン・ハーショルト、ロバート・マクウェード、パーネル・プラット、フェルディナンド・ゴッドシャルク、ラファエラ・オッティアーノ

[内容]

 ベルリンのグランド・ホテル。余命少ないクリンゲラインには最初で最後の贅沢。倒産寸前のプレイジングは最後の交渉の場。往年の踊り子グルシンスカヤは人気の衰えを嘆き、ガイゲルン男爵は借金返済のため宝石泥棒を画策。それぞれの人生はやがてひとつに絡み合っていく ・・・。様々な登場人物の人生にもがく姿を描いた人間ドラマ。虚飾の裏に潜む人生の悲哀と社会の普遍性を鮮やかに描出。歴史的名画のひとつ。
[評価]★★★★☆

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STORY

 ベルリン。グランド・ホテル。クリンゲラインは全財産をもってホテルに宿泊。長年庶民的な暮らしをしてきたクリンゲラインは病気で余命いくばくもなく、最後の楽しみに思い切り贅沢をしようとホテルにやってきたのでした。そのクリンゲラインは、自分の会社の非情な社長・プレイジングを見かけます。しかしプレイジングは会社の経営に行き詰まり、他社との提携と合併に最後の望みを賭けていました。その交渉のためにホテルに泊まっていたのです。
 そのプレイジングの許に若く美しい速記者・フレムヒェンが訪れます。待っている間にフレムヒェンに声をかけたのはガイゲルン男爵。傍にいたクリンゲラインも話しに交わり、その人当たりの良さからたちまち二人と親しみを深めてゆきます。が、内実は借金だらけでその返済に苦慮していたのでした。
 そのガイゲルン男爵の視線の先には往年の名バレリーナ・グルシンスカヤの部屋が。彼女は自分の衰えを悟り、毎夜少ない観客の中で踊ることを嘆いていました。その夜の公演も渋っていたグルシンスカヤでしたが、まわりの説得で劇場へと出かけていきます。それを見ていたガイゲルン男爵はグルシンスカヤの持つ真珠を盗もうと忍び込む準備を始めます。
 一方、プレイジングはフレムヒェンに速記をさせながら自分の愛人にしようと思い始めていました。が、ほどなく届いたメッセージには提携話が破談になったと記されており愕然とします。その頃ガイゲルンはグルシンスカヤの部屋への侵入に成功。が、そこにグルシンスカヤが帰ってきてしまい ・・・。

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COMMENT

 原作はヴィッキ・バウム、脚本はウィリアム・A・ドレイク。もとは戯曲で、現代でも公演が行われている名作でもあります。無論映画の方も評価は高く、グランドホテル方式と言う手法名まで生み出しています。つまりは、複雑な事情を抱えた様々な人物が一堂に集まり、関わり合いながらドラマが展開していくというもの。当然ながら偶然に頼るモチーフが増えるわけで、素人目にも、これを自然に映るように描写していくのは大変だろうなあと思います。が、本作がまさに手本であり、極めて高いドラマ性と独創性をもって、未だ見る者を魅了し続ける映画であります。
 が、その冒頭はかなり雑然としています。最初の10分間で次々と人物を短い時間に登場させているためやや見ている方はやや混乱気味になるのではないでしょうか。そのかわり、その後新しい人物の登場が控えられるため、中盤からはドラマの部分に没頭できるというつくり。これも、土台がしっかりしている恩恵と言うことができるでしょうか。
 物語はベルリンの豪華ホテルであるグランド・ホテルの二日間を舞台にしたもの。余命いくばくもないクリンゲライン(ライオネル・バリモア)、その会社の社長で倒産寸前のプレイジング(ウォーレス・ビアリー)、彼の許に速記者として雇われてきたフレムヒェン(ジョーン・クロフォード)、彼女やクリンゲラインと懇意になるも内実借金の返済に難渋しているガイゲルン男爵(ジョン・バリモア)。男爵に宝石を狙われる落ちぶれたバレリーナ・グルシンスカヤ(クレタ・ガルボ)。それぞれににじませる人生の悲哀が見る者の心にすっと入ってくるのは見事なもの。物語の本質が、人間の人生そのものであることをうかがわせます。そしてこれらの登場人物が互いに関わり合い、やがて悲喜こもごものドラマを生んでいくことになるわけです。
 そして映画は、グランド・ホテルとそこに起こる出来事が社会の縮図であることを描写します。人生はうまくいかないもの。彼らの救いの薄い人生と、そこでもがく人間の姿をリアルに描いていきます。何よりも、人間が装う虚飾の中に、ありのままのその真の姿を浮き立たせているのがわかります。プレイジングは相手にうそをついて契約を結んでしまいます。グルシンスカヤは衰えた自分を知りながらそれを認めようとはしません。またガイゲルンは、金に困っていながらも友となったクリンゲラインからは一銭も受け取ろうとしないのです。
 最後は、ホテルを去るクリンゲラインとフレムヒェンの姿。入れ違いに入ってくるのは幸せそうな若い夫婦。クリンゲラインが言います。グランド・ホテルは世界中にある、と。さらに物語の控えめな語り部であるドクターの言葉が繰り返されます。人が訪れては去っていく ... 何事もなかったかのように。人生と社会の普遍性を象徴するラストではなかったでしょうか。
 ただ、個人的にはもうちょっと救いのあった方が好みではあります。ある者は恋に破れ、ある者は命を落とし、ある者は監獄へと向かう。が、まあ、名作として名高い本作。確かにこの時期の作品としては卓越した出来なのではないでしょうか。映画ファンなら、機会があれば見ておきたい作品でしょう。

(ワーナー・ホーム・ビデオ)
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(アンナ・カレニナ、ニノチカ)
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 本作でもその美しさが目をひいたグレタ・ガルボはサイレント時代からの大女優。代表作は他に、女スパイを演じた「マタ・ハリ」(1931)、ルビッチ監督の名作コメディ「ニノチカ」(1939)など。やわらかな顔立ちでいかにも日本人好みの女優でした。

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