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喝采The Country Girl(1954年/アメリカ/104分)
cinema review ![]() STORY
ミュージカル「我らの周囲の地」のオーディションがニューヨークの劇場で行われようとしていた。演出家バーニー・ドッドが推したのは往年のミュージカルスター、フランク・エルジン。フランクはドッドにとっては昔からの憧れの人物だったが、今は酒びたりですっかり落ちぶれ、それを知るプロデューサーのクックは猛反対だった。オーディションにも精彩がなかったが、ドッドは短期契約することでクックを説得。しかし主役と聞いて怖気づいたフランクは劇場を出て行ってしまう。
フランクはドッドに、アル中になったのは妻ジョージーの異常な支配欲のせいだと告白。が、実際は、数年前に幼い子を連れていた時、目を離した隙に子供が自動車に轢かれて亡くなったのが原因だった。以来、自分の責任だと思いこみ、酒におぼれるようになったのだ。ジョージーはそんなフランクを見守り続けてきた貞淑な妻だった。 やがて初公演のためボストンへ。神経質なフランクはクレームをジョージーに言わせ、周りには涼しい顔を装う。おかげでドッジたちはすっかりジョージーを悪妻だと信じ、疎んじるようになっていた。しかし裏でジョージーは、主役のプレッシャーからフランクを救い、酒を断たせることに成功していた。 が、初演はすべて酷評。フランクをクビにすると言うクック。一方のドッドはジョージーを追い払えばフランクはプレッシャーから解放されると考える。そしてジョージーに追放を宣言。その時、フランクは酷評のプレッシャーから、再び酒に手を伸ばそうとしていた ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
古典的な人間ドラマの名作。落ちぶれスターの復活をめぐる人間模様を描いた物語。本作はかなり硬質な人間ドラマで、感動作でもあるのですが、ロマンティシズムまでをも排したつくりのため、やや地味な作品となったことは確かです。唯一遊びの部分といえば、ビング・クロスビーのミュージカル(劇中劇)の部分でしょうか。相変わらずの美しい歌声を聴くことができますが、それも添え物程度。極めて高い評価を得ている反面、ポピュラリティに関してはちょっと低めのようです。
物語はあるオーディションの風景から始まります。呼ばれたのは往年のミューカルスター、フランク・エルジン(ビング・クロスビー)。が、子供を自動車事故で亡くして以来、酒びたりとなり一線を退きます。今では落ちぶれ果てて安アパート暮らし。それを支えてきたのが10年来の妻ジョージー(グレース・ケリー)でした。しかしフランクは、自分を起用しようとする新進演出家ドッド(ウィリアム・ホールデン)には、事故のことを隠し、アル中は妻のせいだとうそをついてしまうのです。 剥落したスター、彼を支える妻、彼を復帰させようとする演出家。物語は三者の人間模様をひたすらなぞっていきます。外面は良いが都合の悪いことはすべて妻に押し付けるフランク。が、妻の支えなしには生きていけないほどの神経の弱さ。そんな夫に愛想を尽かしながらも健気に支え続ける妻。フランクの言葉に惑わされジョージーを憎悪するドッド。この三者の人間模様があまりにもスリリングで、本作のドラマ性の高さを見ることができます。 が、やがて真実を知るドッド。その時ドッドにジョージーの苦悩と優しさを思い知ることになるのです。そして物語最大の転換点。ドッドとジョージーのキスシーンを迎えることになるわけです。この唐突すぎるモチーフには違和感がないでもありません。が、逆にそれが、ドッドの性格の激しさを現すシーンとも見れます。 ラストは映画ファンにはちょっと有名な感動シーン。ついに復帰を果たしたフランク。が一方では、妻とドッドの仲を悟ります。自分のために人生を犠牲にしてきた妻。愛すればこそ、今度は自分が妻の人生を取り戻してやりたい。しかしそんなわざとらしいせりふは一つもありません。フランクはただ二人を残して去っていくのみ。そしてジョージーとドッドが選んだ道。互いが互いの幸せを願うという非常に美しいシーンで映画は幕を閉じます。 あまりにもストレートな人間ドラマ。うそ、見栄、意地、憎悪、自己嫌悪。これら人間の醜い部分のすべてが慈しみへと昇華されているところに、本作の見事さがあるように思います。近年のドラマは往々にして派手に盛り上げすぎて、かえって興ざめを誘いがち。「ドラマティック」の本質は、本作のような描写の中にこそあるのかもしれません。 |
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本作でグレース・ケリーはオスカーを受賞。美しさだけの女優でないことを証明しました。作品賞は逃しましたが、ジョージ・シートンは脚色賞を受賞。「34丁目の奇跡」とともに代表作となっています。
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