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古城の亡霊The Terror(1963年/アメリカ/80分)
cinema review ![]() STORY
19世紀はじめ。遠征中のフランス軍部隊からはぐれた将校アンドレ・デュバリエはある海辺にたどり着く。そこで若い女性を見かけ声をかけると飲み水の場所に誘われ、一息つくを得る。そしてヘレーンと名乗ったその女性の美しさにアンドレは魅了される。しかし、ヘレーンはいきなり海の中に入っていき煙のように消えてしまう。後を追おうとしたデュバリエだったが、荒波と一羽の大鳥に阻まれ、途中で気を失ってしまう。
デュバリエが気付くと、そこはカトリーナという老女の小屋だった。老女はアンドレを襲った大鳥と若い男グスタフと暮らしていた。が、大鳥は大人しく人を襲うはずはないと訝しがる。ヘレーンについても聞いてみるが知らないという答えだった。しかしその夜、グスタフが、女はヴァンラップ城にいるとひそかに告げる。そこでエリックなる男を探せと言うのだ。 翌日、城へ向かったアンドレは、二階の窓にたたずむ黒髪の女を見かける。しかし、当主のビクター・ヴァンラップ男爵は、執事ステファンとの二人暮しだと言う。すると男爵は何かに思い当たった様子で妻イルサの肖像画をアンドレに見せる。それは、まさにアンドレが目撃した女性だった。が、男爵は言う。イルサは20年前に亡くなった、と ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
ロジャー・コーマンが低予算・ありあわせのセットでつくったとされるいわく付きの映画。当時量産していたエドガー・アラン・ポー原作作品の集大成的な映画とも言えます。が、ストーリーはオリジナル。どこまでポーの怪奇小説の深みに迫れたかは疑問ですが、雰囲気に関してはポーの世界を十分に連想させるつくりとなっています。
物語は、はぐれたフランス軍仕官アンドレ(ジャック・ニコルソン)が謎の美女ヘレーン(サンドラ・ナイト)と出会い、探し出そうとするもの。途中、魔女カトリーナ(ドロシー・ノイマン)に助けられ、そこでヘレーンがヴァンラップ男爵(ボリス・カーロフ)の城にいることを突き止めます。が、そこでアンドレが見たものは、二十年前に死んだはずの男爵の妻・イルサ(サンドラ・ナイト=二役)だったというわけです。 今回はフランケンシュタインの怪物役で有名なボリス・カーロフを起用。その独特の歩き方をここでも見ることができます。全盛期(戦前)を過ぎた怪奇スターですが、それを敢えて招聘するあたり、ロジャー・コーマンのこだわりが並々ならぬものであることを感じさせます。 ちなみにフランシス・F・コッポラがコーマンの弟子?だというのは有名な話で、本作でも製作補としてクレジットされています。また、主演のジャック・ニコルソンもロジャー・コーマンの下で映画製作を学んだと言われています。こうしてみると、コーマンの映画界への貢献度はかなりのものかもしれません。いずれにせよ、本作の根強い人気が、こうした周辺の事情にも起因していることは確かでしょう。 さて、物語は様々な謎を提示します。時に煙のように消えるヘレーンとは一体何者なのか。エリックとは誰なのか。そして亡霊イルサの謎。後半にはカトリーナの復讐の謎が加わります。ヴァンラップ男爵と執事の密談も実に思わせぶり。これらの謎を引っ張るだけ引っ張り、終始見る物の興味を失わせないようにしているのが小憎らしいところ。最後には二十年前に起こった忌まわしい出来事が語られ、驚くべき真実が明らかとなります。小ぶりながらも実に巧みなつくりで、まんまと作者の術中にはまってしまいます。 一方、不明のまま終わってしまう点もあります。大鳥の謎。グスタフとカトリーナの関係。最後に明るみとなるイルサの子供とは何なのか。映像から推理することはできそうですが、はっきりとした表現とはなっていません。一部消化不良のままなのは残念な気がします。やはりポーの完成度、というまでには至っていないようです。 しかし原作があるだけに展開が分ってしまう、とはよくあること。本作はオリジナルで臨んだだけに、観ていて尽きることない興味が新鮮ではあります。今では古典の範疇に数えられる本作、怪奇映画の佳作と呼んでも良いのではないでしょうか。 |
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当時のロジャー・コーマンは好んでポーの怪奇小説を映画化。「アッシャー家の惨劇」(1960)、「恐怖の振子」(1961)、「黒猫の怨霊」(1962)、「忍者と悪女」(1963)など。コミカルなモチーフやSF的な試みもあって意外と多彩。コーマンの生涯手がけた作品は100本をはるかに超え、中には日本映画「KYOKO」(1996/村上龍監督、高岡早紀主演)なんてのもあります。まさにハリウッド名物と呼べるでしょう。
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