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恐怖の足跡

Carnival Of Souls(1962年/アメリカ/84分)

[監督]ハーク・ハーベイ
[脚本]ジョン・クリフォード
[撮影]モーリス・プラザー
[音楽]ジーン・ムーア
[出演]キャンディス・ヒリゴス、フランシス・フィースト、シドニー・バーガー、アート・エリソン、スタン・レビット

[内容]

 一台の車が川に転落。車は沈んだままだったが乗っていた一人、メリーが命からがら這い上がってくる。その後メリーは心機一転町を去って新たな町へ。が、その頃から、見ず知らずの男の姿を見るようになる。そこで医師に相談。妄想だと告げられるのだったが ・・・。事故から一人生還した女性が体験する恐怖を描いたホラー。いかにも大雑把なつくりでB級色は否めないが、巧みなプロット運びと全編に流れるオルガンの音色で雰囲気はたっぷり。意外な掘り出し物になる、かも ・・・。
[評価]★★★☆☆

cinema review

STORY

 二台の車が遊びでチキンレースを始め、工事中の橋に入り込んでしまい、一台が川へと転落。川は深くにごっており三人の命は絶望かと思われた時、一人が岸に這い上がってくる。町のオルガン工場に勤めるメリー・ヘンリーだった。しかし他の二人は見つからず、車も発見できなかった。
 その直後、メリーは工場を辞めオルガン奏者として生計を立てようと思いつき、町を去る決心をする。新たな職場は隣の州の教会だった。が、町へ向かう途中、車の窓に見知らぬ男の姿が映り恐怖する。さらに町外れに差しかかった時、湖の中に見えた廃墟が気になって仕方がない。そこは、かつて賑わいを見せた遊園地だった。そしてその夜、メリーは小さな下宿屋に到着。おかみのトーマス夫人に二階の部屋に案内される。が、部屋の窓に、再び男の姿を見てしまう。
 翌日、メリーは気を取り直して教会へ赴く。夜帰ると、下宿に住むもう一人、ジョン・リンデンにからデートに誘われるが、メリーはなぜか人と付き合う気になれなかった。そして一階の玄関でまたあの男の姿を見つける。が、トーマス夫人に聞いていみると、宿にいるのは三人だけだと言うのだ。
 さらに翌日、ショッピングに出かけたデパートで、急に音が聞こえなくなる。まわりに話しかけても誰も答えてくれず、そこに再び謎の男が現れ錯乱状態に。が、偶然居合わせたサムワース医師に助けられる。その後診断を受けたメリーは、医師から妄想だと告げられるが、原因は途中見た遊園地の廃墟にあるような気がしてならない。そして手がかりを求めるべく、単身遊園地へと向かうのだったが ・・・。

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COMMENT

 死霊をモチーフにしたホラー映画。60年代のホラー映画ですから、まだ怪奇映画の雰囲気を引き摺っています。この点、現在のホラー映画のように恐怖シーン中心というわけにはいきません。しかし、パイプオルガン、教会、ステンドグラス、等、ゴシック色に満ちた小道具を巧みに使い、雰囲気から心理的恐怖を引き出すつくりとなっています。
 物語は、若者の気楽な自動車レースから始まります。が、片方が橋から川に転落して車は泥の中に。が、一人這い上がって来た女性がいたのです。重要なのはこの主人公メリー(キャンディス・ヒリゴス)の、しっかり者で自立心が強い、という性質。それがメリーが“上がってこられた”理由となっていて、意外なラストシーンへの伏線となっています。ただし、一方では人見知りという相反する設定でもあり、人物像のリアリティはいまひとつ。あくまでもシチュエーション優先のつくりと言えそうです。
 とにかくも、その日からメリーは、謎の男の姿を目撃するようになります。最初は町を去ろうとした時。車の窓に映りこむ男の顔。続いては車の前にも。通せんぼをして町を去るのを止める仕種。さらに時折襲ってくる奇妙な感覚。音が聞こえず誰も自分を相手にしない。まるで自分が存在しないかのように。様々な伏線が真実への鍵となっています。この点はなかなか考えられたプロットではないでしょうか。
 やがてメリーは、この原因が町外れの遊園地の廃墟にあるのではと感じ始めます。そして単身向かうメリー。が、そこにはメリーを追ってきた死霊たちがうごめいていたというわけです。邦題「恐怖の足跡」とは、終盤の一シーンに由来するもの。ここまで来てはじめてその意味を、見る者は悟ることになります。
 物語のほぼ全編のBGMに流されるのはオルガン曲。後では、さすがに単調だし入れすぎだろう、とも思いますが、80分間雰囲気を維持する役割は十分果たしています。何でもない昼間のシーンでも何かが起こりうる予感を見事に醸成させていて、わかっていながらそこに神経が集中してしまいます。
 本作は、監督のハーク・ハーベイも主演キャンディス・ヒリゴスもまったくの無名といっていいでしょうか。ハーベイは短編を中心にかなりの数を監督しているようですが、筆者はまったく作品を見かけたことはありません。キャンディス・ヒリゴスもかなりの美人なのですが、これも同様。実は作品自体、かなり大雑把なつくりで、例えば、なみなみと注がれたコーヒーカップが、次の瞬間にはいつの間にか減っている、といった具合。オルガンを弾く指の動きと実際の音とがまったく合っていなかったり、と、これは歴然。しかも明らかに、いい加減に弾いているっ! とも見れるのですが、まあ、これはご愛嬌のうちに入れていいかもしれません。
 本作をゾンビ映画と結び付ける人もいるようですが、死霊を描いた映画なのでゾンビものとは異なります。むしろオカルトやゴシックに近い雰囲気と言えます。今となっては、さほど怖いというわけではありませんが、プロットにしても雰囲気にしても、逆にレトロ的なおもしろさを体感できるのが不思議なところ。月日が経ち、非現実感が出たことで、より幻想的な印象を与えるのかもしれません。人によってはこれは、意外な掘り出し物と感じるのではないでしょうか。

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