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恐怖の振子The Pit And The Pendulum(1961/アメリカ/88分)
cinema review ![]() STORY
中世スペイン。メディナ家に嫁いだ姉エリザベスが亡くなり、三ヶ月後、イギリスの弟フランシスは手紙を受け取ります。しかし姉の死に不審を抱いたフランシスはメディナ家を訪れて真相を確かめることに。
訪ねてみると住んでいたのは、姉の夫ニコラスとその妹キャサリン、執事と女中。案内された地下には無気味な拷問室に開かずの部屋。父が拷問者だったと語るニコラス。エリザベスの死の状況を最初は隠していたニコラスでしたが、フランシスが執拗に聞くと、何かに憑かれたように日に日に弱っていき、夜、さまようよう歩き、ついには拷問具の中で倒れている姿を発見されたと明かします。 が、ある時、地下から女性の叫び声。またある時は誰もいないはずの部屋からハープシコードを弾く音。そしてついに女中がエリザベスのささやく声を耳にし、ニコラスはエリザベスは生きているのだと怯え始めます。 そんな中、エリザベスの死を確認したという医師レオンが訪問。レオンは誰かのいたずらだと言って、さらに、ニコラスが、密通の罪で生きたまま壁に塗り込められた母のことがトラウマになっていて、今回も妄想に取り憑かれているのだと説明します。そこでニコラスを納得させるため、エリザベスの死を確認することに。そして安置室の壁を取り壊し、棺を開けてみたのでしたが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
エドガー・アラン・ポーの「落し穴と振子」を軸に再構成された怪奇ホラー。落し穴と振子とは秘密の拷問部屋のこと。本作はロジャー・コーマンがこの時期得意にしていたポーの怪奇映画。セットの安っぽさは目をつぶるとして、雰囲気づくりは相変わらずのそつのなさ。複数の作品からモチーフを採用しただけあって、内容的には充実したといえるのではないでしょうか。
物語はスペインの古城を訪れたフランシス(ジョン・カー)が体験した恐怖を描いたもの。何かに取り憑かれたような姉エリザベス(バーバラ・スティール)の死。が、その後、姉の声やハープシコードを弾く音など、その存在を思わせる現象が起こります。この亡霊への恐怖感が物語を終始支配。そしてもうひとつ。"拷問" という、倒錯者には甘美な響きなのでしょうが、SM的な要素は希薄といえるでしょう。それでも、中世使われていた拷問具が映し出されると、シチュエーションの異常性を通して、本作の怪奇志向が強調されます。が、まあ、さすがに悪趣味と感じる人も少なくないでしょう。 主のニコラスはコーマン作品ではおなじみのビンセント・プライスですが、これがいかにも怪しげ。妻を亡くして嘆き悲しんでいる一方、少年期のトラウマに苦しみ、さらには拷問者としての血にさいなまれるという三重苦を背負っています。が、最後、抑圧からの解放なのか、あるいはそれが宿命的な血筋なのか、ついに発狂すると心の裏側でくすぶっていた異常性が露わになり、見る物を戦慄させるに至るのです。 物語は強いホラー色を帯びていますが、はたしてエリザベスの亡霊はいるのかどうか、というミステリアスな雰囲気もかもし出します。指輪や秘密の抜け穴など、様々な小道具がこれに一役買っています。このあたりは実に巧いつくりでファンを惑わせることになります。そして、エリザベスの棺を開けるシーンから一気に謎を解明させ、しかし新たな恐怖を創出してショッキングな結末へと観客を導くのです。 ラストにはややブラックな余韻を感じますが、総じてテーマの深みは感じられません。一方では怪奇趣味たっぷりの娯楽性に富んだ作品でもあり、今見ても満足のいくつくりではないでしょうか。どんなものでも、そこそこ、にまとめ上げてしまうコーマン監督ですが、本作はちょっとお勧めかもしれません。 |
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