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2001年宇宙の旅

2001: A Space Odyssey(1968年/アメリカ・イギリス/139分)

[監督]スタンリー・キューブリック
[脚本]スタンリー・キューブリック、アーサー・C・クラーク
[撮影]ジェフリー・アンスワース
[特撮]ウォーリー・ヴィーヴァーズ、ダグラス・トランバル、コン・ピダーソン、トム・ハワード
[音楽]アラム・ハチャトゥリアン、ジェルジ・リゲティ、ヨハン・シュトラウス、リヒャルト・シュトラウス
[出演]キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター、ダニエル・リヒター、レナード・ロジター、マーガレット・タイザック、ロバート・ビーティ、ショーン・サリバン、ダグラス・レイン

[内容]

 太古の昔、猿の前に突如巨大な一枚岩が現れ、ほどなく猿は道具を使うようになった。そして現代。月で巨大な一枚岩が発掘され、未知の生命体の存在が明らかとなる。18ヵ月後、岩が放つ電波を追って木星に探検隊を派遣。が、コンピュータHAL9000に異常が起こって ・・・。宇宙・生命・文明の神秘を描いた壮大なSF叙事詩。ラスト20分は永遠に謎。映画史上最も難解な作品のひとつ。
[評価]★★★☆☆

cinema review

STORY

 太古の昔。猿は群れを成して生活していた。時に草食動物と食べ物を奪い合い、時に肉食獣に襲われ無惨な最期を遂げる。そしてまたある時は、別の群れと水場の奪い合いをする。ある朝、猿たちが起きるとそれはあった。一枚の巨大な石が立っていたのだ。ほどなく、一匹の猿が骨を拾い、それで叩くことを覚える。そして獣を叩き殺すことを始める。やがて別の群れと出会うが、道具を使うことを覚えた群れは相手の群れを圧倒する。
 現代。宇宙評議会のヘイウッド・フロイド博士が宇宙ステーションに到着。そこにいた科学者たちから、月の異変について質問攻めにあう。月のクラビウス基地はここ2週間連絡がつかず、さらに宇宙船の着陸を拒否しているという。そのため、基地が伝染病に侵されたとの噂が立っていたのだ。フロイド博士はそのクラビウス基地へと向かう。実は、月では未知の生命体の創造物が発見されていた。宇宙評議会はこの秘密を守るため、伝染病の噂を流したのだった。やがて現場へ。そこには400万年前につくられ、そして埋められた巨大な一枚の岩が発掘されていた。岩は不思議なことに強力な磁力を帯びている。さらに調査団が近付いたその時、岩は突然高周波の電波を発し始めるのだった。
 18ヵ月後。人類初の有人木星探検計画が決行され、宇宙船ディスカバリー号が木星へと向かう。乗組員は船長デビッド・ボウマン、副長フランク・プール、冬眠状態の三人の博士たち。さらに6人目のクルー、コンピュータ、HAL9000を乗せていた。ある時、HALは任務に疑問があるとボウマンに告げる。18ヶ月前、月から掘り出された何かに関係があると言うのだ。その少しあと、HALは交信装置の一部が72時間後に故障すると報告。早速点検へと向かうボウマンとプールだったがどこにも異常は見つからなかった。HALの能力に不安を感じた二人だが、HALは自分は完全無欠でミスはありえないと言い放つ。HALの故障を確信した二人はHALに聞こえないところで回路を切る相談をする。が、HALは二人の唇を読んでいた。そして自分を抹殺しようとする人間たちを排除しようと企てる ・・・。

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COMMENT

 スタンリー・キューブリックの非常に難解なSF作品。公開当時よりも、のちに名作として騒がれ出した作品でもあります。あまりにも美しい特撮シーンなども、後世のSF作品に与えた影響は大きいようで、それゆえに、今見ると新鮮さを欠く弊害も認められます。本作の持つ緩慢さはやはり時代の流れと言うしかありません。ちなみに、SFの大家アーサー・C・クラーク(映画の脚本も担当)は映画とほぼ同時期にこの物語を小説化。こちらも話題となりました。
 物語は「人類の夜明け」と題された太古の昔から始まります。人が猿とも類人猿ともつかぬ時代。突然目の前に一枚岩が現れ、猿はその時を機に人へと進化を始めます。が、物語は突然未来へと飛びます。月から発掘された一枚岩。それは未知の生命の存在を表す世紀の発見。岩から発する電波の先には木星が。そして18ヵ月後、一隻の宇宙船が木星へと向かうのです。
 しかしコンピュータ、HAL9000が異常をきたします。そしてHALの回路を切ろうとした乗組員たちを殺してしまいます。ただひとり生き残ったボウマン船長(キア・デュリア)は何とかHALの回路の切断に成功。単身木星調査へと赴くのですが、そこで驚くべき体験が待っていたというわけです。
 ともかくも、本作を見てピンと来た人は滅多にいないでしょう。特にラスト20分は究極の難解さ。冒頭の20分と対になっているようでもあり、一見、二つの時代における生命の進化の決定的瞬間を描いたと見れます。が、その手法はあまりに観念的であり、はたして映像表現の限界の中にあるものなのか、どうしても不満は残ります。観念的に名作と感じることはできても、見る者の理性を拒む姿勢とも感じられ、そこははたして長所なのか短所なのか、極めて微妙なモチーフではあります。その20分はこうです。

 小型ポッドで木星へ向かったボウマンは万華鏡のような美しい世界を目の当たりにする。が、ある瞬間、ボウマンは一つの部屋の外にいた。のぞいてみるとそこにいたのは歳を経て中年となった自分。さらに次の瞬間、中年の自分はさらに歳を経て老人となった自分を発見する。老人は死の床に就いていた。そして死の瞬間、目の前にあの巨大な一枚岩が現れる。すると老人は胎児に生まれ変わり、宇宙空間へと飛び出して行く。

 このボウマンが見た部屋、というのはどことなく繭をイメージさせます。本作のテーマが、誕生のための死、進化のための破壊、を内包しているといわれるのも、おそらくはこのせいでしょう。すると、何となく訳の分らなかった終盤がイメージ付いてきます。冒頭で猿から人への進化を描き、後の120分で、人から別の高度な何かへの進化を描いたということになります。
 他にも物語にはいくつかの大きな謎が残ります。HAL9000の謎。突然変異を起こしたような描写。はたしてこれも生命の進化にあたるのか。月にあった一枚岩は何だったのか。どこか未知の生命体に繋がっているものか。この宇宙は高度な生命体の実験場だったのか? が、再びこれらの謎に挑むには、かなりの想像力が必要になりそうです。

(ワーナー・ホーム・ビデオ)
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スタンリー・キューブリック関連作
(博士の異常な愛情、
時計仕掛けのオレンジ)

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 アーサー・C・クラークは1982年、本作の続編として「2010年宇宙の旅」を発表。1984年にはピーター・ハイアムズが映画化(「2010年」)しています。本作の謎の一部にも言及しているのが興味深いところ。キューブリックの世界とはちょっと違いますが、より分りやすさは出ています。

www.sasaraan.net

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(c) morijoh