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第3逃亡者Young And Innocent(1937年/イギリス/84分)
cinema review ![]() STORY
ある朝、女優クリスティン・クレイの死体が海辺に上がる。通りがかった男。ロバート・ティスドールは死体を見て驚く。アメリカにいた時、彼女から小説の依頼を受けたことがあったからだ。ロバートはすぐさま助けを呼びにその場を駆け去るが、そこに若い女性二人が日光浴に訪れ死体を発見。走り去るロバートを見て逃亡する犯人だと思い込んでしまう。
ロバートは連行され取調べを受ける。凶器はコートのベルトだったが、偶然にもロバートは前夜コートをなくしていた。しかもクリスティンはロバートに1200ポンドを譲る遺書をしたためており、ますます立場は悪くなる。ついには取調べ中に失神してしまい、バーゴイン警察長官の娘・エリカに介抱されることに。 やがて気がついたロバートはこのままでは犯人にされると思い、隙を見て警察署を脱出。なくしたコートを見つけ、ベルトが付いていれば無実が証明できると考えるのだった。なくした場所は「トムの帽子」という安宿のバー。途中、ガス欠で困っていたエリカを見つけると無実を訴えて助けてもらうよう説得。エリカはロバートの人柄に打たれ協力することに。 が、「トムの帽子」にすでにコートはなく、盗まれたことが分りる。一方、客から、浮浪者の老ウィルが真新しいコートを着ていたことを聞きかじる。そして二人は、老ウィルがよく泊まるというノビーの簡易宿泊所に向かうのだったが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
アルフレッド・ヒッチコック監督初期のサスペンス。男が冤罪にかけられ逃亡しながら真相を暴いてゆく得意のストーリー。ただし、イギリス時代の作品はさすがに古さが目立ち、本作もいかにも大味なプロットではあります。サスペンスとしてよりは冒険モノとしての方がおもしろく観られるかもしれません。
冒頭、女優の妻・クリスティンの派手な男関係を責める夫・ガイ(ジョージ・カーゾン)の姿が映し出されます。そして翌朝、浜辺にクリスティンの死体が打ち上げられます。ほどなく現場に居合わせた知り合いのロバート(デリック・ドマーニー)が逮捕。しかしロバートは脱走してみずからの無実を晴らそうとするのです。 プロットにはやや強引なところもあり、例えば走り去るロバートを頑なに犯人だという女性。犯人が警察を呼びに行ったという不思議さ。盗まれたコートを調べようともしない警察のずさんさ。など。ヒッチコック作品に限らず、初期のサスペンス映画はさほど緻密さにこだわっていないことが分ります。 ただし、ここにロマンスを絡めてくるのがヒッチコック映画の真骨頂。警察長官の娘エリカ(ノヴァ・ピルビーム)がロバートを助け、真相究明に乗り出すことになります。エリカが父(パーシー・マーモント)とロバートの板ばさみに苦悩する姿など、人間臭さも丁寧に描くところはヒッチコック流と呼べるでしょうか。 真実の鍵は凶器となったコートのベルト。偶然前夜コートを盗まれていたロバートはコート探しに奔走。ついに自分のコートを着ていた浮浪者・老ウィル(エドワード・リグビー)を探し当てることになります。が、コートにベルトは付いていませんでした。凶器はまさにロバートのコートのベルトだったのです。 展開が進むごとに新たな事実と疑問が提供され、さながら冒険ミステリーの装い。コートを追う二人、二人を追う警察、と、ほどほどに緊迫感のあるモチーフも重ねられていきます。物語は終盤、老ウィルにコートを譲った「まばたきの男」を三人で探すことになるわけです。この「まばたきの男」というのが良くも悪くもわざとらしい特徴であり、ユーモラスな特徴ともなっています。 本作を含むイギリス時代後期の作品は、40年代のアメリカ作品に通じるところがありますが、よりドラマティックになっていくことになります。一方で緻密さがでてきるのは50年代に入ってから。ただし、いずれも人間ドラマをベースに敷くのは変わらぬつくりと言えます。 |
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本作はヒッチコック得意の逃走モノ。同系統で有名なのは、40年代の「逃走迷路」、50年代の「北北西に進路を取れ」、と、いずれも傑作。ヒッチコック・エンターテイメントの代表ジャンルと呼べます。
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