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大統領の陰謀

All The President's Men(1976年/アメリカ/132分)

[監督]アラン・J・パクラ
[原作]カール・バーンスタイン / ボブ・ウッドワード
[脚本]ウィリアム・ゴールドマン
[撮影]ゴードン・ウィリス
[音楽]デビッド・シャイア
[出演]ダスティン・ホフマン、ロバート・レッドフォード、ジャック・ウォーデン、マーティン・バルサム、ハル・ホルブルック、ジェイソン・ロバーズ

[内容]

 民主党本部に五人の男が侵入。盗聴器の存在が明らかとなる。犯人が元CIAであると知ったウッドワード記者とバーンスタイン記者は事件を追及。取材妨害や圧力の中、内通者ディープ・スロートの協力を得て、再選委の暗躍に突き当たる ・・・。実話であるウォーターゲート事件を二人の記者の目から描いた政治サスペンス。緊迫した取材過程がリアル。ただし、事件の予備知識がないと辛いかも。
[評価]★★☆☆☆

cinema review

STORY

 1972年6月17日深夜、民主党本部に五人の男が不法侵入。が、警察に見つかり逮捕。民主党本部が盗聴されていたことが明らかとなります。ワシントン・ポストの記者・ボブ・ウッドワードが上司のシモンズ局長に起こされ現場に急行。が、犯人に電話した形跡がないのに私選弁護士がついていたことから疑惑を持つことに。
 そして審問会でのやり取りから、五人がすべて元CIA関係者であることを知り、さらに、所持していた電話帳に、ハワード・ハントとホワイトハウスの名が記されていたことを突き止めます。そしてハントを探り始めると、ハントが大統領顧問のコルソンの元部下で、CIAにも籍があったことが判明。新聞社ではカール・バーンスタインをもうひとりの担当に任命して本格的な取材をはじめることにします。
 ほどなく、ウッドワードとバーンスタインは、ハントがエドワード・ケネディを調査中で、官邸図書室と国会図書館から資料を借りていたことを知ります。が、官邸はこれを否定、図書館はすでに証拠隠滅済み。取材は行き詰ります。しかし、ウッドワードは官邸に知り合いがいたことを思い出すと接触。金を追え、との示唆を受けることに。
 そしてバーンスタインは、犯人の一人が大統領再選委員会に頻繁に電話していたこと、ダールバーグという男から25000ドルの小切手が渡っていたこと、ダールバーグが再選委のメンバーであり、金は再選委・財務委員長のスタンズに送られたことを突き止めます。どうやってスタンズから犯人へ金が渡ったのか。二人は、さらに再選委の不透明な資金の動きを知り、再選委の職員名簿を入手します。そして職員たちに取材を申し込むのでしたが ・・・。

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COMMENT

 ウォーターゲート事件を基にした政治サスペンス。内容はほぼドキュメンタリーに近いもの。ただし、事件発生は1972年で、今見るには予備知識が必要であり、作品もまた予備知識があることを前提につくられています。製作は1976年。1974年、この事件がきっかけでニクソン大統領が辞任に追い込まれるわけですが、公開時はきわめてタイムリーな話題を扱った映画で、多くの映画ファンはニュースで概要を把握していました。以下、筆者の記憶を交えながらレビューを進めていきたいと思います。
 1972年、民主党本部が入居するウォーターゲート・ビルに五人の男が侵入。が、警備員の通報で警察が駆けつけ五人を現行犯逮捕。五人とも元CIA局員であったことが明らかになります。また、民主党本部への盗聴も明るみに出ます。最初は単独犯と思われた事件でしたが、ワシントン・ポストのウッドワード記者は事件に疑問を持ちます。この部分は映画の通りで、取材にはさらにバーンスタインが加わります。が、官邸、CIA、再選委による隠ぺい・妨害工作もはじまり、二人の取材はまもなく行き詰るわけです。
 ところが、ここに内部の情報提供者が登場します。たまたまウッドワードの知り合いだったということですが、その名前はその後三十年以上にわたって明らかにされませんでした。新聞社内部では、仮にディープ・スロートと呼ばれていたそうです。とにかく、二人はディープ・スロートが与えたヒントから不透明な金の流れを突き止め、ついに大統領再選委員会の暗躍へと突き当たるのです。ちなみに、2005年、本人の名乗りにより、ディープ・スロートは当時のFBI副長官であったことがわかっています。
 映画でもたびたび出てくるのが、この「大統領再選委員会」ですが、公式の組織ではありません。ニクソン大統領が再選へ向けて非公式に組織したものです。しかし、資金の不正流用、取材や捜査への妨害等悪質な行為が次々と明らとなり、上層部の多くは、後に逮捕・起訴されています。
 映画は、ワシントン・ポストの二人の記者から見た事件を中心に描いたものですが、現実ははるかに広範囲にわたっています。FBIはウォーターゲート事件を調査。が、一方、ニクソン大統領はCIAに捜査の妨害を指示。再選委がこれに加担します。しかしこの時のやり取りはテープで録音されていました。そして、このテープが致命傷となってニクソン大統領は現職のまま辞任に追い込まれることになったのです。
 物語は二人の記者が事件を追う姿を淡々と追っていきます。ただし、複雑な組織や人間関係にもかかわらず、早い展開で次々とこれらの名前を羅列していくだけなので、見る方は頭に入れるだけで大変なプレッシャーとなります。予備知識が乏しければ、本作の雰囲気を味わうだけになってしまうのでしょう。この点は、普遍性が内在する映画文化としては残念なところ。もっとも、公開当時は知っていることが前提の工夫であるとも考えられます。
 また、二人の記者の人間描写も機械的。全体的に映像化、という印象が薄いのが実感。言葉のやり取りに終始するところが見受けられ、多くのシーンはラジオでも通用しそうなほど。が、一方では、報道の自由や意義が垣間見えるモチーフもあります。緊迫した取材過程も十分なリアリティを演出しています。いずれにせよ、時代とともに風化していくモチーフであることは確か。時事映画としての評価は未だ高いようですが、物語映画としての評価は、風化に比例して低下するのはいたしかたのないことかもしれません。

(ワーナー・ホーム・ビデオ)
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 ウォーターゲート事件を機に辞任に追い込まれたニクソン大統領。その人間の真実に迫ろうとしたのが「ニクソン」(1995)。3時間に及ぶ超大作。大統領を演じたのはアンソニー・ホプキンス。監督オリバー・ストーン渾身の一本です。

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