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トパーズTopaz(1969年/アメリカ/143分)
cinema review ![]() STORY
1962年。ソ連KGB副長官ボリス・クゼノフが休暇をとり家族と共にコペンハーゲンを訪問。しかし一家には尾行がついていた。途中、隙を見てアメリカ大使館へ連絡。亡命の意思を伝える。それを受けたアメリカ情報員マイク・ノードストロムが動いてクゼノフ一家を保護。アメリカへ亡命させる。
ワシントン、フランス大使館。アンドレ・デブローが大使から呼び出しを受ける。デブローは表向きは商務官だが、裏ではスパイ網を取り仕切る情報員だった。デブローはそこでソ連高官の亡命の報を聞き、居所を探るよう求められる。しかし不審を抱く。そんな秘密情報が、こんなに早く、一体どこから送られてきたのか? デブローは早速親しい仲のマイク・ノードストロムに会い、事実を確認する。一方、ワシントン郊外の山荘ではクゼノフの聴取が進んでいた。が、最重要のキューバ問題については知らないという。キューバでは革命が起き、共産主義化が進んでソ連の支援が拡大していた。クゼノフは、国連総会のためニューヨークに来ているキューバ代表のリコ・パラが、両国で交わされた覚書を持っていると告げる。さらにその秘書ルイス・ユリベは金に弱い人物だとも。が、アメリカ嫌いでアメリカの買収には応じないと断言する。 そこでマイクは覚書の入手をフランス人であるデブローに依頼する。デブローはユリベの買収に成功。そこでソ連のミサイルがキューバに運ばれていることを知り、更なる情報を求めてキューバへと飛ぶ。キューバでは、愛人で地下組織のリーダー、ホアニタが待っていた。デブローはホアニタの協力でミサイル情報の入手にも成功。が、アメリカに帰ると、マイクからパリに情報を送らないよう要請される。 そしてすすめられるままにクゼノフと面会。そこで驚くべき情報を耳にする。フランス高官で組織された、ソ連に通じるスパイ網があるというのだ ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
アルフレッド・ヒッチコック監督のスパイ・スリラー。1960年代のキューバ危機を背景にしたコテコテのスパイ映画。前作「引き裂かれたカーテン」に引き続き東西冷戦が背景。オープニングは何とソ連の軍事パレード。珍しくも硬派な雰囲気でスタートを迎えるのですが、そこはヒッチコック。主人公夫婦のすれ違いや互いの不倫を絡め、巧みに人間味を演出しています。
「トパーズ」とは、フランス高官をメンバーとしたソ連に通じるスパイ組織。しかしこの言葉がクローズアップされるのは後半になってから。冒頭に亡命するソ連高官によってその謎が明かされることになります。当時はNATOの情報漏えいが問題となっていましたので、キューバ危機という現実の事件と共に、かなりリアルな背景であったと言えます。 しかし主人公は米ソどちらでもなくフランスの情報員デブロー(フレデリック・スタッフォード)。フランスは中立を、というその妻ニコール(ダニー・ロバン)に対し、中立はありえない、と断言します。フランスの冷戦における微妙な立場も浮き彫りにしているのも興味深いところです。 情報員という夫の仕事を忌み嫌うニコールとデブローの間には溝があるのですが表向きは仲の良い夫婦。しかしデブローはキューバに、地下組織のリーダーであるホアニタ(カリン・ドール)を愛人に持ちます。そしてニコールもまた、レジスタンス時代の戦友ジャック・グランヴィル(ミシェル・ピコリ)と不倫関係にありました。これらがいずれも悲劇を迎えることになるわけで、本作のドラマティックな部分を見事に支えていると見れます。この点、不倫好きヒッチコックの本領発揮というところでしょうか。 舞台はコペンハーゲンからワシントン。そしてニューヨーク、さらにはキューバへとダイナミックに移ります。デブローはソ連とキューバとの密約を知り、その証拠写真の入手に成功。が、情報をパリへ送ろうとした時、ここで再び亡命者クゼノフ(ペル=アクセル・アロセニウス)が登場し、その行為を思い留まらせます。ここではじめてトパーズというスパイ組織の存在をもらすというわけです。そして最後の舞台はパリ。デブローはスパイが誰なのかを探ろうと躍起に。家族を巻き込んでの攻防戦に発展していくのです。 本作では、リアルな背景とアンチ・リアルな描写を巧みに織り交ぜ、見る者の緊張感を引き出そうとしています。また、セリフを控えた独特の長い間も何箇所かで用いられています。特にフランスのスパイ、デュボワ(ロスコー・リー・ブラウン)がキューバ革命の幹部リコ・パラ(ジョン・ヴァーノン)のホテルに侵入する辺りはヒッチコックならではの間の作り方。ヒッチコックの技術の高さが随処に見える作品であることには違いありません。 しかし、なぜか本作はヒッチコック作品の中でもさほどの評価を受けていないことも事実です。スリルを高めるためのつくりもの的な描写が、かえってリアルさを削いだのかもしれないし、また長い間が緩慢に感じることもあったのかもしれません。それにしてもこれだけの作品ですから、これで評価を下げるというのは、ヒッチコック作品への期待がいかに大きいかを物語るものでしょう。 |
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