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恐喝(ゆすり)Blackmail(1929年/イギリス/82分)
cinema review ![]() STORY
ロンドン警視庁の刑事フランク・ウェッバーは、勤務を終え恋人アリス・ホワイトとカフェへ。しかし次に映画に行くかどうかで言い争うと気まずい雰囲気となり、フランクは怒って飛び出してしまいます。しかしそこに別の男が現れ、アリスを伴って出て行きます。アリスは、この新しいボーイフレンドの画家クルーともデートの約束をしていたのでした。そして二人が出て行くところを、気になって店の外で待っていたフランクは目撃してしまいます。
その夜、クルーのアパートに立ち寄ることになったアリス。しかし不意に襲ってきたクルーを、アリスは近くにあったナイフで刺してしまいます。怯えながら家に帰るアリス。翌朝にはアパートの女主人が死体を発見し、警察が駆けつけていました。その中にはフランクも。そこでフランクはアリスの手袋を発見。さらにクルーを見て、昨日アリスと会っていた男だと気付きます。 アリスが犯人だと悟り、家に急ぎ、問いただすフランク。しかしそこにトレイシーと名乗る男が現れます。トレイシーはその手袋が何を意味するのかを知っていました。そしてトレイシーは、警戒する二人を尻目に脅迫を始めます ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
ヒッチコック作品の十作目。同時にイギリス初のトーキー映画でもあります。サイレントからトーキーへの過渡期ということで、俳優の演技がオーバーなのがおもしろいところ。巧みにロマンス劇を絡めるあたりはヒッチコック流の片鱗を見せていますが、展開や描写に後のようなインパクトやスムーズさはありません。もっとも、サスペンスそのものの手法がまったく確立されていない時代ですから、ぎこちなさはやむをえないと言うことができます。
物語はロンドン警視庁(ニュー・スコットランド・ヤード)の逮捕劇から始まります。が、この冒頭、実はストーリーにはなんら関係がありません。主人公のフランク(ジョン・ロングデン)をはじめとする刑事たちの活躍を表現する映像的アピールとなっています。さらにこの部分、しばらくはせりふもなくサイレント映画のような雰囲気。最初はサイレント映画として製作が進められてということですから、その影響かもしれません。 本編はフランクと恋人アリス(アニー・オンドラ)のデートの風景から始まります。口論からフランクは怒って去るのですが、アリスは別のボーイフレンド、画家のクルー(シリル・リチャード)とも待ち合わせ。しかしその帰り、クルーの部屋で迫られた際にナイフで刺してしまうのです。 翌朝捜査に赴いたフランク。ほどなくアリスが犯人だと悟ります。そしてアリスの家へ急ぐフランク。しかしそこに見知らぬ男トレイシー(ドナルド・カルスロップ)が現れ、二人を脅迫し始めるのです。 アリスの家が新聞販売店であるというのがミソ。新しいニュースが話題となり、殺人事件の号外が飛び込んできたり、と、物語の緊迫感を高めるのに一役買っています。脅迫者はアリスの家に居座り、二人にプレッシャーを与え続けるのですが、やがて前科者であるトレイシーが容疑者として手配されたとの知らせがフランクに入るのです。対場は逆転し、フランクはこの脅迫者を犯人にしてしまおうと考えます。気付いて逃走するトレイシー。一方では呵責に耐え切れず自首をしようと決意するアリス。事件は意外な方向へと向かい終結していきます。 もうひとつどんでん返しがあるかとも思いましたが、むしろシンプルな終盤。その代わりに非常にシニカルなエンディングとなっています。全体として展開そのものに切れはなく、やや緩慢でもあります。やはり時代の古さを実感してしまうのですが、映像としては非常に貴重なものであることは確かです。この時期からのヒッチコック作品を追っていくだけで、サスペンス映画の成熟過程をうかがい知ることができます。 |
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ヒッチコックのデビューは1925年の「快楽の園」。初のトーキー作品が本作。これよりヒッチコック作品は徐々に成熟の度合いを強めていきます。そのイギリス時代の代表作は「三十九夜」(1935)。さらに「バルカン超特急」(1939)で、ロマンス、冒険、サスペンスを巧みに融合させたヒッチコック・スタイルがほぼ確立します。
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