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担任(たんにん)
- 著者 : 新津きよみ
- 発行 : 角川ホラー文庫
- あらすじ ...
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母と二人暮しの直子。看護していたリウマチの母が良くなり職を探すことに。かつて子供を中絶したことがトラウマとなっている直子。贖罪の気持ちもあって教員試験を受け、教職に就こうと決意します。そんな中、産休に入る教師の代わりにと、臨時採用の教員としてある小学校から誘われます。しかも四年生のクラスの担任。
二学期から教壇に立つことになった直子。すぐにクラスに一年前神隠しにあった女の子がいることを知ります。が、直子はその女の子明日香が戻ってくるようにと出席の際の名前を呼び続けることにします。その日、明日香の母知子が学校を訪れると直子にあいさつを。明日香を死んだと決め付けていたと前担任を批判していきます。しかし直子はその情緒が定まらない姿を見て、これからどう接すればいいのか不安になるのでした。 その後も朝は相変わらず明日香の名を呼び続ける直子。すると、ある日からいないはずの明日香の席にぼんやりとした白い影が見えてくるようになります。自分の目を疑う直子。明日香の幽霊なのか? 他の子供たちは気付いていないよう。なぜか自分だけに見える影。ほどなく、同僚の教師から、前任の佐久間ゆり子の様子がおかしくなっていたことを聞き出します。そしてある日、口実をつくってゆり子のもとを訪れた直子だったのですが・・・。
- コメント ...
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行方不明になった子供をめぐるエピソードを描いたホラー。後半からはサスペンス色も加わり目が離せない意外な展開が待ち受けています。そして何よりも見事なのは主人公門松直子の描写ではないでしょうか。直子の感情や思考の過程が鏡に映したように伝わってきます。これが終始叙情的な雰囲気をかもし出し、物語の怖さ、切なさを増幅させています。
物語は、八歳の女の子明日香が帰宅途中行方不明になるところから始まります。そして生死も分からぬまま一年。37歳の独身女性・直子が、明日香のクラスに担任として臨時採用されます。しかし直子にはトラウマが。それは "生んでいれば小4" という直子が中絶した娘(?)。実はこれが意外な伏線となって後に読者を惑わせることになります。女性が多く、働きやすい職場。この学校はそんな直子の期待を裏切ります。事務的で権威的な人間関係。そしてクラスへの情緒的な執着を見せる明日香の母親。 その現象はすぐに現れます。いないはずの明日香の席に顔のない白い影が現れたのです。しかし、最初は動転した直子も次第に冷静を取り戻していきます。あれは明日香の幽霊なのか? と。そこで前担任佐久間ゆり子の家を尋ねる直子。問い詰めた末にゆり子の語ったことは驚くべきものでした。そしてここが、物語の上でもテーマの本質にとってもクロス・ポイントとなります。 いったい白い影は本当に明日香なのか。明日香はすでに死んでいるのか。物語は恐怖から真実の探求へと重みを変えていきます。やがて明らかになる意外な真実。しかし、これで終わるはずの直子の冒険談には、ちょっとしたおまけが付いていることが分かります。本当の意味ですべての謎を解き明かすことになるラストの三行はちょっと忘れられないもの。同時に直子のあまりにも切ない姿が見事に表現されています。 本作は、読み方によってはあまり怖いものではないかもしれません。むしろ、苦悩し、行動を起こしていく直子の姿に惹き付けられていくのではないでしょうか。その面で叙情色が強い本作。ドラマとしての読み応えも十分なのではないでしょうか。
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奇抜な着想と細やかな感情の描出が特徴の著者。同じサスペンス風味のホラーに「ふたたびの可奈子」 他にも「さわらないで」、「なくさないで」、「同級生」などホラー作品多数。いずれもドラマとしても堪能できます。
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(c) morijoh |